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個別の事件への法相の指揮権発動は、1954年の造船疑獄事件の一例にとどまり、以後はほとんどタブー扱いが続いている。元判事であり検事経験もある小川氏自身も、発言が議論を呼ぶことは分かっていたはずだ。その真意を開いてみたくて、インタビューを申し込んだ。
その日のうちに取材に応じた小川氏は、こう言った。
「マスコミはまったく想像で書いている。起訴命令のようなものを想定しているみたいだけど、そんなこと、考えるはずないじゃありませんか。しかし、『厳正にやれ』という趣旨のことは言えるんです」
指揮権を発動せず、人事上の処分で対応することも考えた。だが、「記憶の混同」による検事一人のミス、という筋書きに立てば、上司らの責任を問うことは難しい。やはり、指揮権発動しかないと腹を固めたという。
「検察が身内の問題に問して、裁判所からも指摘があるのに頬っかむりでいいのか。それを法務大臣が見過ごしていていいのか。そういうことなんですよ」
今回、小川氏を非難したメディアは、それでいいというのだろうか。
※週刊朝日2012年6月22日号
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