「今国会の会期中に衆院で採決する」。野田佳彦首相(55)がそう宣言し、民主、自民、公明3党による修正協議が始まった消費増税関連法案。国会会期末の6月21日に向けて、サバイバルゲームはいよいよ激化した。
与野党を問わず、永田町のあちらこちらで、増税反対の火の手が勢いよく上がり始めている。
「今後、反対・慎重派がさらに顕在化すれば、採決すらできない。すると自民党はすぐに内閣不信任案と問責決議案を出す。野田さんは一か八かで採決に突っ込まない限りおしまいだ」(永田町関係者)
小沢グループの一人はこんな見通しすら語る。
「野田さんが猪突猛進したければ、幹事長を、自民党の大島理森副総裁(65)の盟友、仙谷由人元官房長官(66)にすげ替えるしかないが、谷垣さんと握って採決に持ち込み、『自爆解散』するなんて、誰も望んでない。輿石東幹事長(76)と中間派で採決を先送りし、野田内閣を総辞職に追い込む。小沢一郎元代表(70)は『マニフェストを守ってくれる人なら誰でもいい』と言っているから、後継首相を、なりたくてしょうがない前原誠司政調会長(50)にすれば、挙党一致できる。輿石さんも同じ考えだ」
修正協議にかかわる野党議員の一人は、クールに分析する。
「野田さんが18日から始まるG20に出席して帰国したら、輿石さんに堀を埋められているんじゃないか。増税を進めていくエンジンがあまりにも弱すぎる」
野田首相は野党時代に、民主党の体質を「ホップ、ステップ、肉離れ」と評したことがある。政権交代に手が届くかと思いきや、肝心のところで状況判断を誤ったりポカをしたりで、つまずいてきたからだ。
いまや、野田首相のイメージは往時の民主党と重なる。増税法案提出、修正協議で「ホップ、ステップ」したものの、「肉離れ」ならぬ「腰砕け」で終わる公算が大きくなってきた。
※週刊朝日 2012年6月22日号