

AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。
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Q:私は容姿を変えたい。ずっと容姿がコンプレックスで、人の目を見て会話するのも笑うことも怖くてできませんでした。勇気はいるけれど、美容整形をして人生を変えたいです。(女性/総務/24歳/さそり座)
A:これまでも占いのお客さんで、美容整形した人、これからしようと思っていると相談してきた方が何人かいました。
全員に共通しているのが、ものすごく多感な時期に、容姿を誰かから否定された過去を持っていたことでした。鼻が大きいねとか、顔のパーツのどこかが変だね、とか。
人種や宗教と同じように、容姿はすごくデリケートです。誰かの意図しない一言で、ものすごく傷つけられてしまうことがある。
その傷は、自分が努力したり楽しい時間を過ごしたりしているときにも、影を落とします。例えばおもしろいことがあってみんなで笑っているときにも、「でも私の笑い方、気持ち悪いと思われているんじゃないか」って。心ない一言で人にそんな傷を負わせるのって、本当に僕は犯罪だと思うんです。
そして整形は、そういう誰かへの復讐行為であることが多い。
僕自身は整形について反対も賛成もない立場です。ただし、復讐には作法が必要だと考えています。作法というのは、復讐の目的をはっきり決めること。その目的とは何かというと、「どこまで行ったら自分を許すことができるのか」。
整形は、よく言われますが、終わりがなくなりがちです。誰かから強く否定された記憶がある人は、いくらそのパーツを技術的に理想の形に変えることができても、否定されたダメージ自体は消えません。そうすると「ここもダメだろう」と次の否定が始まってしまう。否定した側が主人公のままだから、復讐に終わりがなくなってしまう。