開成高校クイズ研究部で全国高等学校クイズ選手権史上初の2連覇を成し遂げ、一躍クイズ王として名を知られるようになった伊沢拓司さん。東大クイズ研究部時代には、数多くのクイズ番組などに出演しました。AERA進学MOOK『カンペキ中学受験2021』のインタビューで、後の勉強の基本になったという中学受験のエピソードなどを聞きました。
* * *
僕が初めて自分から勉強に取り組んだのは、小学1年生の時です。ちょうど小学校のキャパシティーに対して児童数が多すぎる「マンモス校」状態が問題になっていた時代で、受験して私立の小学校に進みました。
保育園に通っていた僕はまだひらがなが書けなかったけれど、幼稚園に通っていた同級生たちはみんなちゃんと書けていた。自分だけが書けないことが悔しくて、母親に頼んで硬筆の教室に通いました。思えば、中学受験もその後クイズに夢中になったことも、この「負けず嫌い」から来ています。
■同級生に成績を抜かれて勉強方法を見直す
小学3年生の冬から通いだした塾では、同級生と競い合ってテストで一番の成績をとることが楽しくて、我流で勉強をしていました。伝記を始めとするノンフィクション系の読み物が好きだったこともあり、社会科など知識を積み重ねていくタイプの科目は得意でした。
その一方、算数のように内容を理解して問題を解く方法を身につけていかなければならない科目は苦手でした。算数については、最初はなんとなくで解けていたのに、5年生になると通用しなくなり、ライバルたちに次々と成績を抜かれてしまいました。悔しくてどうしたらよいのかを考え、勉強の仕方を変えなければいけないと気づきました。
塾の先生に相談したところ、「復習を完璧にすることが必要」と教えられました。そこで初めて、「勉強にも効果的なやり方がある」ということを知ったのです。先生のアドバイスに従って、まずは途中式などをきれいに書き、間違った場合はどこで間違ったかがわかるようにしました。そして、算数の問題にはパターンがあることを理解したのです。似たパターンのものを始め、解ける問題がどんどん増えていきました。苦手を克服したら、算数は安定の得点源に変化したのです。