日本を代表する巨大企業のトヨタ自動車とパナソニック。両社とも「地道にコツコツやっていく会社」と自任する。しかし、近年になって隔たりが浮き彫りになってきた。要因には地域性もあるという。創業までさかのぼって両社を徹底分析した。

 本誌が6月1日号で紹介した新指標では、会社側が見積もった業績予想に対して、結果が上回れば「勝ち」、下回れば「負け」とした。

 02年度以降の10年間を見ると、トヨタが9勝1敗に対して、パナソニックは6勝4敗。とくに07年度以降で違いが目に付く。両社ともリーマンショックの直撃を受けて負けた08年度のほかにも、パナソニックに負けが目立ってきた。

 両社の業績予想に隔たりが生まれた要因の一つは、地域性だという。

 そもそもトヨタは現・豊田自動織機から独立後、ずっと愛知県豊田市(現在)に本社を構える。パナソニックは事業拡大によって、もともと店員養成所として買収を進めていた大阪府門真市(同)の土地に新たな本店や工場を建てて以来、ここが本社となっている。どちらも東京や海外などに事業拠点を山ほど展開しているが、それでも、「本籍」は愛知と大阪に置いたままなのだ。

 愛知と大阪で、どう違うのだろうか。『ビジネスの9割は「県民性」でうまくいく』の著者・矢野新一氏は、愛知について、こう語る。

「『名古屋はため倒れ』というぐらいムダを省いて合理的な経営をしている企業が多い。江戸時代に尾張藩が倹約貯蓄を奨励したことで、名古屋人には合理的な精神が染み付いたとされています」

 大阪については、こうだ。

「大阪の企業には勢いがあるものの、堅実さや粘り強さに欠けています。商人の町でお金にシビアな半面、予算を達成できないとあきらめて、すぐに切り替える。最後の詰めが甘い傾向があります」

※週刊朝日 2012年6月8日号