数々の名作を生み出してきた名コンビが、Amazonプライムビデオで「シットコム」形式のドラマに挑戦する。作品について語る2人の様子は、よくできたコメディーのように息ピッタリだ。公開リハーサル後の2人がドラマに挑む思いを明かした。AERA2020年4月13日号より。
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あの名コンビが帰ってくる。三谷幸喜さん(58)と香取慎吾さん(43)がタッグを組んだ最新作「誰かが、見ている」が、今秋、Amazonのプライムビデオで独占配信されると発表された。
メインとなる舞台は固定されたまま、その中でレギュラー出演者やゲストがさまざまなやり取りを繰り広げ、ステージを見ているような臨場感と面白さが味わえる。海外ではポピュラーな形式で、シチュエーションコメディー(シットコム)と呼ばれる。米ドラマの「フルハウス」や「フレンズ」を想像していただくと伝わりやすいだろう。
香取さんと三谷さんは、俳優と脚本・演出家としてNHK大河ドラマ「新選組!」(2004年)や、映画「THE 有頂天ホテル」(06年)、舞台「日本の歴史」(18年)など、様々なフィールドで何度もタッグを組んできた。シットコムに挑戦するのも初めてではない。02~03年には香取さんが主演、三谷さんが脚本、演出を務めた「HR(エイチアール)」がフジテレビ系列で放送されている。三谷さんはこう語る。
「『HR』をやって、またいつか香取さんとこのジャンルに挑戦したいと思っていました。『日本の歴史』を終えた時、(香取さんに)『次は何をやるんでしたっけ?』と聞かれ『シットコムです!』と答えた。その時の香取さんの嬉しそうな顔が印象的でした。シットコムは俳優としての柔軟性も含め香取さんにぴったりだなと思います」
「HR」では定時制高校を舞台に、香取さんはクセの強い生徒に振り回される教師役を演じたが、今回の「誰かが、見ている」は真逆。この風貌でわかる通り、香取さんが扮するキャラクターのクセがかなり強い。ストーリーの詳細や共演者はまだ明かせないが、三谷さん曰く「社会と適合できないタイプの役」。
撮影は昨年から始まっており、12月下旬には都内の東宝スタジオで、記者を入れた公開リハーサルが行われた。
黄色いつなぎにおかっぱ頭でスタジオに入ってきた香取さんは、すでにキャラに入っている。不思議な可笑しみのあるオーラを身にまとい、小さな声で「おはようございます……」と言い、ニヤニヤ。三谷さんは三つ揃い姿で颯爽と動き回っている。スタッフや出演者で少し打ち合わせたのち、リハーサルが始まった──。
終了後、観客を入れて行う本番収録の合間に、香取さんと三谷さんがこのドラマに挑む思いを明かした。