銀座一丁目駅は銀座線銀座~京橋間のほぼ中間にあり、銀座駅から徒歩2分28秒、京橋駅から徒歩2分52秒(いずれも最短距離)で、どちらも乗換駅に指定しても差しさわりない。東京メトロが銀座駅を選択したのは、3つの路線が交わることや、リニューアル工事が完成することによるのだろう。
日比谷線にとっては、2013年に秋葉原駅が都営新宿線岩本町駅、2018年に人形町駅が半蔵門線水天宮前駅、築地駅が有楽町線新富町駅の改札外乗換駅に指定されており、さらなる利便性の向上が期待される。
また、ダイヤ改正により、改札外乗換駅の乗り換え制限時間が30分から60分に拡大されるので、飲食店などに“寄り道”ができそうだ。
■「THライナー」デビュー
今回の6月6日ダイヤ改正で、日比谷線と伊勢崎線を結ぶ座席指定列車「THライナー」が新設された。
朝方は久喜~恵比寿間に2本設定、夕方以降は霞ケ関~久喜間に5本設定され、座席指定料金は区間により大人580円と680円(小児半額)に分かれる。なお、事前に座席指定券を購入しなかった場合、200円(大人、小児とも)加算されるほか、朝方の恵比寿行きに限り、霞ケ関から先は乗車券のみで利用できる。
車両は東武鉄道70090型で、東上線で好評を博す「TJライナー」用の50090型と同じマルチシートを採用。各駅停車運転時は横長のロングシート、「THライナー」運転時は進行方向に向けられる回転クロスシートに設定される。
なお、「THライナー」の新設に伴い、東武鉄道の特急「スカイツリーライナー」下り列車と特急「しもつけ」が廃止される。
■保安装置の更新
利用客の目に触れないところでも、大きな変化が計画されている。東京メトロの保安装置はCS-ATC(車内信号機付き自動列車制御装置)で、ATS(自動列車停止装置)やWS-ATC(地上信号機式の自動列車制御装置)に比べ、列車の間隔を短くできるメリットがある。しかし、日比谷線はラッシュ時の遅延が発生しやすく、平日の夕方は東武線に波及することも珍しくない。
そこで東京メトロは、新しい保安装置としてCBTC(無線式自動列車制御装置)の導入に向けた準備を進めており、2023年度の実用化を目指している。実現すると、列車の間隔をさらに短くできるので、高い遅延回復効果が期待される。
2021年に還暦を迎える日比谷線。新しいステージに向けて、これからも発展してゆくことだろう。(文・岸田法眼)
【著者プロフィール】岸田法眼(きしだ・ほうがん)/『Yahoo! セカンドライフ』(ヤフー刊)の選抜サポーターに抜擢され、2007年にライターデビュー。以降、フリーのレイルウェイ・ライターとして、『鉄道まるわかり』シリーズ(天夢人刊)、『論座』(朝日新聞社刊)、『bizSPA! フレッシュ』(扶桑社刊)などに執筆。著書に『波瀾万丈の車両』(アルファベータブックス刊)。