自粛が始まってから、家族と電話することが増えたり、長い間連絡をとっていなかった友だちとテキストをやりとりするようになったり──というかた、多いのではないでしょうか。わたしもその一人です。外に出られないから、どうしても人恋しくなります。でも家族や友人にはその気になれば連絡ができますが、図書館の司書さんのように、連絡先どころか名前も知らないような人との交流は、非常時になったらぷつりと途絶えてしまいます。そんな、近いようで遠い存在の人たちの顔を動画で見て、声を聞けたことが、自分でも驚くほど嬉しかったのです。まるで、コロナで一変してしまった日々にほんの少し日常が戻ってきたようでした。それは娘も同じだったと思います。わたしたちの日常って、連絡先や名前すら知らない人たちに彩られてできていたんだな──と、非常時になって初めて気がつきました。
もうひとつ心を温めてくれたのが、動画の手作り感でした。司書さんたちはユーチューブ投稿の経験などない初心者で、「動画アップするの初めて!」と宣言し、途中でカメラ(といっても多分スマホのカメラ)の位置をずらしながら撮影する人もいました。背景が生活感あふれるリビングだったり、お子さんの声が入り込んでいたり、動画の冒頭に放送事故みたいな無言の時間があったりして、もう、はちゃめちゃ。でも手作り感いっぱいの動画には、大変な状況でもとにかく子どもたちにストーリータイムを届けたい!との心意気がにじみ出ているようでした。
さて、オンライン化したのは図書館だけではありません。娘の通っていた保育園は自宅でできる工作のアイデアをフェイスブックページでシェアしてくれるようになり、毎週あった教会の勉強会もフェイスブックページとZOOMで行うようになりました。小中高等学校の授業は、休校初日からオンライン化。グーグル・クラスルームで宿題の提出が行われ、体育の授業もウェブミーティングシステムで行われているそうです。ネット環境が整っていない家庭・地域には紙の宿題セットが配布されているようですが、とにかくオンライン化の速さと広さには驚くばかりです。