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 AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。

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Q:大学の自主活動団体に参加し、あるグループのリーダーに挑戦しました。自分を成長させようとこの役割を選びました。必死に食らいついて、自分を変えるくらい努力しました。ですが最近、何人かの仲間の熱量が感じられないことから、心の狭い期に入り、人に優しくなれず、冷たい態度をとってしまいそうになります。一旦、自己嫌悪にはまると底まで落ちてしまいます。(女性/大学生/19歳/みずがめ座)

A:僕は、文章の書き方にそのときのその人の性質が表れると思っています。この相談の文章には、淡々と記録を書くような箇条書き的な特徴を感じました。こういう文章を書く人は、周りをすごく観察している人です。

 この短い文章の中に、何年分かのこの人の経験や見てきた風景の変化、自分自身の変化などがすべて含まれているような気がしました。

 もしかすると、今ちょっと燃え尽きている状態で、今後ここに時間を使っていっていいのかなと感じていらっしゃるのかもしれません。

 みずがめ座は、自己犠牲の精神が強い星座です。自分が信じたものや美しいと感じるもの、心の底から応援したいと思うものに対して、本当に自己犠牲という言葉が合うぐらいにすべてを注ぎ込む。そうやって、みんなで一つの思い出を作ったり結果を残したりすることを喜びにできる人たちなんです。その一方で、100パーセントの情熱を注ぎ込み続けてしまったら自分が虚しくなるんじゃないか、リターンがそこまで見込めないんじゃないかと考える計算高さが自分の中に出てきたときには、自己嫌悪が生じます。僕はそういった自己嫌悪も含めて、人が大人になっていく過程の中で大事なものだと思っています。ある時期に全力を出し尽くした人が、気持ちが離れる段階に来るのは自然なことです。

「自分が信じるものを自ら裏切るわけにはいかない」と責任を感じてやり尽くして、なんていうか、周りから見ると“利用されている”ようになってしまうみずがめ座も、結構たくさんいます。

 そうならないために、僕自身が大切だと思うのは、「責任感の範囲」を決めること。それは、大人として周りとバランスを取りつつ、自分自身も幸せになっていくために必要なことです。

 好きなことを始めるときや、何かを引き受けるとき、外から求められる声に合わせすぎると、永遠に自分で決定できなくなってしまいます。たとえ好きで始めたことであっても、もし今気持ちが離れているならば、「ここまではやるけど、ここから先はごめんなさい」というラインを決めていいと思います。

 実はこういう事情で続けることが難しくなりました、と伝えることこそが、責任ある行動です。これが言えなくて倒れてしまうみずがめ座が多いです。自己嫌悪も多少は伴うかもしれないけど、線引きする範囲を決めて、それを周りに伝えることは、必ずいつか必要になります。

◎しいたけ./占い師、作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究しながら、占いを学問として勉強。「VOGUE GIRL」での連載「WEEKLY! しいたけ占い」でも人気

AERA 2023年2月13日号