新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京オリンピック・パラリンピックは1年延期されることが決まりました。今夏の大舞台に照準を合わせてきたアスリートたちに衝撃が走りましたが、スポーツ医学的にはどのような影響があるのでしょうか。大会における医学面でのバックアップ体制の見直し、アスリートたちの医学的サポートなどの具体的な話について、日本スポーツ医学財団理事長の松本秀男医師に聞きました。
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今年7月から予定されていた東京オリンピック・パラリンピックは、新型コロナウイルスの世界的流行により、開催が1年延期されました。現在の状況から、世界のアスリートたちが最高のコンディションでプレーするために、また観客にとっても安全で安心できる大会にするためには、避けられない決定でした。
これまでのオリンピックの歴史で、中止されたことはあっても延期という選択ははじめてのこと。急遽、当初開催予定の1年後に五輪を開催するという、前例のない目標を達成するには、困難を乗りこえるための多くの人々の努力と協力が必要となります。
運営サイドの立場から考えると、場所と人員の確保が急務です。同じ会場をおさえられるかどうか、ボランティアなどの人員確保もすべてやり直しになります。スポーツ医学分野での大会サポート体制も、これから再構築しなくてはなりません。
開催時には選手村担当のドクターや看護師、理学療法士、トレーナー、観客1万人に1カ所設置される試合会場医務室に待機する会場ドクターと看護師、さらに後方支援病院などが必要となりますが、以前の連載で話したとおり、いずれも協力する医療関係者は、みなオリンピック・パラリンピックに参加することを自ら希望した無償ボランティアです。
開催時期の延期で、ボランティアを再度募ることになりそうですが、基本的には今回の応募者に延期に伴う参加の可否を聞き、欠員となったところに再度募集をかけるかたちで進められれば、手続きを簡略化できます。まずは、会場などの決定を待ってから、準備が始まります。