これまで未来投資会議や分科会で使用された資料や議事メモはすべて公開されている。過去に同様の非公表会議があったのかを問うと、「私の知る限りはない」(担当者)という。
資料を提供した国交省は、「公表されると困る内部資料」と話す。
その理由について、国交省関係者がこう説明する。
「EBITDAの数字や運営権対価の比率などの計算方法を国交省が公表してしまうと、今後の空港事業の入札に、国交省が想定している落札額の期待値を示す恐れがある」
自民党の西田昌司・参院国対委員長代行は今回の件についてこう語る。
「未来投資会議は安倍政権の経済政策に大きな影響を与える会議なので、公正性を考え、議論の内容はすべてオープンにするべきだ。やましいことがないなら、事務方も議事メモや資料をこれまでどおり、官邸のホームページで出せばいい話。竹中氏は、過去の諮問会議でも実際はパソナやオリックスなど企業の幹部なのに大学教授の肩書で参加し、“利益相反”の疑念が生じて、党内で問題視されてきた」
利益相反とは、一方の利益になると同時に、他方への不利益になる行為を指す。例えば、諮問会議は中立の立場で審議を行わなければならないのに、その議員が自分や第三者の利益を図り、国の利益を損なう行為をするのが典型的な例だ。
オリックスの有価証券報告書(19年3月期)によると、同社は竹中氏を含めた社外取締役6人に計9200万円、信託形式の株式報酬として計1400万円が支払われている。竹中氏個人の報酬総額は非公開だが、「個人によって報酬額は異なるので6等分ではないが、竹中氏にも報酬は支払われている」(オリックス広報)。同社での竹中氏の仕事については「経営全般についてご意見をいただいている」(同)という。
竹中氏はパソナ会長を務めながら、大学教授の肩書で諮問会議の民間議員として労働問題の論議に参加し、問題視された経緯もある。その見解を過去にインタビューで問われ、「(会議では)派遣など利益相反になることには発言しない」(東洋経済オンライン)と語っている。ところが、未来投資会議では分科会会長を務め、空港、水道事業の政策取りまとめ役として、積極的に発言している。