竹中氏は小泉内閣で総務相などを務め、郵政民営化などを担当したが、06年に政界を引退。大学教授として教鞭をとるかたわら、人材派遣会社パソナグループ会長やオリックス社外取締役などを歴任している。
「内部資料の一つが、空港の民間運営事業に関するもので、国交省が各空港の財務状況を分析したものでした。竹中氏が社外取締役を務めるオリックスは、民営化された関西国際空港などの運営に参入している利害関係企業です。そのため、国交省内からも資料開示に慎重な意見がありました」(同前)
オリックスは15年、仏空港運営大手のバンシ・エアポートとの企業連合などで、国が100%出資する新関西国際空港会社から関西空港と大阪(伊丹)空港の運営権を獲得。契約期間は59年度までの44年間で、オリックス連合などが支払う運営権対価は総額2兆2千億円にのぼる。18年4月からは、神戸空港の運営権も獲得し、関西3空港の一体運営をしている。
国交省が内部資料の公開をためらったことは、この日から2カ月前の19年11月18日に開かれた分科会の議事メモにも記されていた。竹中氏は国交省の平岡成哲・航空局航空ネットワーク部長に、日本国内で民間が運営する空港について、その価値を示す「EBITDA(イービットディーエー)」と、空港事業を落札した時に業者が支払う運営権対価の比率の開示を求めた。
EBITDAは、1年間の営業で得られた現金(キャッシュフロー)をあらわす。投資家が企業分析をする際によく使用される指標の一つだ。
分科会で竹中氏は、他国の空港と比較して日本の運営権対価が高いのではと問題視し、平岡部長に数字の開示を求めた。
そこで竹中氏は、<数字は、どうして開示できないのか。もし、法的に予定価格を類推するので、できないということなら、会計法を所管する財務省から正式な解釈を航空局としてとって、お示しをいただきたい>と訴えた。
だが、平岡部長は運営権対価は国際水準から高くないと否定した上で、<数字を公開の場でお示しをするという形になりますと、運営権対価の期待値を、いわば申し上げる話になってしまいますので、今後のコンセッション案件に対する影響があるのではないか>と慎重だった。