東京駅八重洲南口のユニゾ八重洲ビル。設置されているみずほ証券の株価ボードを横目にマスク姿の会社員が通り過ぎる(撮影/写真部・掛祥葉子)
東京駅八重洲南口のユニゾ八重洲ビル。設置されているみずほ証券の株価ボードを横目にマスク姿の会社員が通り過ぎる(撮影/写真部・掛祥葉子)
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AERA 2020年5月4日-11日号より
AERA 2020年5月4日-11日号より
AERA 2020年5月4日-11日号より
AERA 2020年5月4日-11日号より

 2万4千円台だった日経平均株価が7千円も下落──その間に賢く動いていた個人がいた。コロナ禍で投資信託の積み立てを始める人も倍増している。AERA 2020年5月4日-11日号に掲載された記事で、専門家らに話を聞いた。

【コロナ・ショックの影響で下落率の大きい企業は…】

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 カスタマーサポートへの電話が鳴りやまない。4月7日の緊急事態宣言の発出以降は受付時間を短縮しているのに、問い合わせの件数は増える一方──。

 ネット証券大手、楽天証券の「はじめてのお客様ダイヤル」も同様だ。年初から問い合わせは増加傾向にあったが、数字として顕著に表れたのは2月下旬からだという。これは、日経平均株価の暴落が始まった時期と重なる。

「3月の月間新規口座開設数は前月比155%の16万4011口座でした。2月は同138%の10万5940口座。1999年の当社サービス開始以来、2カ月連続で歴代業界最多数を更新しています」(楽天証券広報の松崎裕美さん)

 比較対象として過去の下落時のデータを見ると、リーマン・ショック後の2009年で130%、11年の東日本大震災で116%増だった。今回の155%は確かに大きい。

 国の非課税投資制度「つみたてNISA」も楽天証券では51万口座を突破し、投資信託の積立設定者は前年同月比で2倍に増えた。これまで貯金中心だったビギナーが投資の準備を始めている証拠だ。

 同社の個人投資家向けメディア「トウシル」を訪れる人の数も上昇した。昨年12月にユーザー数150万を突破していたが、2月は207万、3月は404万。平常時と比べてグーグルやヤフーからの検索流入が急増。つまり「一見さん」が増えているのだ。

高配当株に視線集まる

 何を知るために訪れているのか。トウシル編集長の武田成央さんに聞いた。

「個別データを見ると、直近では利回り3~4%などの高配当株に関する記事が特に読まれています」(武田さん)

 株価が急落したことで、相対的に配当利回りが上がった銘柄が増え、銘柄選びに迷ったためだろう。東証1部上場・時価総額1兆円以上の大企業の配当利回りを調査すると、日本たばこ産業(JT)の7.72%を筆頭に、利回り6%以上が並ぶ。

 ほかにもこんな記事が読まれていると言う。

「意外なところで、確定申告の申告期限が4月16日まで延期された後に掲載した『確定申告の注意点と申請方法』の記事がアクセス1位を取りました。“税務署に出向くことによる感染リスクを減らすには”などについても取り扱ったので、コロナ関連記事として読まれた面もあると思います」(同)

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