具体的にはどう足していくのか。

「血行促進には、ターメリックや玉ねぎが入っているカレーがおすすめ。レトルトでも構いません。ここに、サバ缶を足すと効果がアップします。さらに、黒豆や黒キクラゲなど、血の巡りをよくする食材をどんどんプラス。これぞ、“時短薬膳カレー”です」

 肉が入ったレトルトカレーにサバ缶を足すのは少し粗っぽい気もするが、池田さんは「カレーは懐が広いから、色々混ぜても変な味にはなりません」と、気に留めない。

 もっと早くできるものもある。

「カボチャのカップスープにサケ缶の身と汁を少し混ぜると、包丁も使わずに“1分で薬膳スープ”が完成。ちょっとしたシチューのような味わいになりますよ」

 中医学において、免疫力を高める食材に挙げられるカボチャと、疲労回復にいいとされる魚、サケとの組み合わせ。サケのコクでインスタントのスープが一段階リッチな風味になり、効果の有無の前に病みつきになりそう。オフィスでサケ缶をパカッと開けるのは気が引けるが、家なら自由だ。

「ストレス解消にはセロリや春菊など香りのいい野菜やハーブ類、大根、蕎麦がおすすめです。大根をおろすのが面倒なら、カイワレでもいい。コンビニで買った蕎麦の上にカイワレをバサッとのせて、“秒速薬膳蕎麦”をどうぞ。で、小腹が空いたらセロリでもかじってください」

 ゆるいというか大雑把というか、確かに時短ではある。コンビニ蕎麦にカイワレ、間食にセロリも、在宅だからこそできる食べ方だろう。

■リモートワークの期間こそ、体を整えるチャンス

 ちなみに、リモートワーク生活に便利なメニューとして池田さんがすすめるのが、チリビーンズならぬ「サバビーンズ」。挽き肉の代わりにサバ缶、チリパウダーの代わりにカレー粉を使うほか、玉ねぎ、パプリカなど、血行促進や美白効果を期待できる食材を多種類取り入れた一品(*レシピ参照)。これを作っておけば、パンやパスタ、サラダにのせたり、ご飯にかけてドライカレー風にしたり、さまざまなアレンジが可能だ。

 食事は毎日の積み重ね。塩分過多や食べ過ぎには注意しつつ、体が必要とする食材を意識して取り入れていくことで、時間をかけてジワジワ効いてきそうだ。

「長期で家にいる今こそ、食の幅を広げ、食べ物で体を整えるチャンスです。人は慣れたものばかり食べてしまいがちですが、この機会に意識を変え、普段買わない食材を試してみてください。そこに美と健康の元が宿っているかもしれません。今週、今月食べたものは翌週、翌月の自分の体に表れます。平日に家で食事をするこの期間が、もしかすると人生を変えるかもしれませんよ」             (文:カスタム出版部)