03年、ヤンキースに移籍した松井は、メジャー時代にも思わず大爆笑の語録を残している。

「オレのは小さいから大丈夫だ」

 ヤンキース時代の08年4月18日のオリオールズ戦、5番DHで出場した松井は、3割6分7厘とカモにしているカブレラから2死球を受けた。2つ目の死球は、151キロの速球が太ももの股間に近い場所を直撃したため、痛さもハンパなかったはず。

 ところが、出塁後、一塁手のミラーが「もう少しで大事なところに当たったんじゃないか」と冷やかすと、松井は得意の下ネタジョークで切り返した。もっとも、試合後は「痛いし、痣もある。当たるんなら、カブレラの球はやめてほしい。もうちょっと遅い投手ならね」と本音を口にしていたのだが……。

「メリー・クリスマス!」

 レイズ傘下3Aダーラム時代の12年5月21日のシャーロット戦、4番DHで出場した松井は延長10回1死一、二塁、151キロの速球を右中間にサヨナラ安打。ヒーローインタビューを終えたあと、地元ダーラムの記者たちに「サンキュー」と声をかけられた際に、答えた言葉。記者の1人は「こんなに面白く、ナイスなジョークを言える日本人選手はほかにいないのでは」と賛辞を贈っている。

「これから草野球もありますし」

 12年12月27日の引退会見で、「僕は引退という言葉をあまり使いたくないので」のあとに続けた言葉。湿っぽいイメージの引退会見の空気を一瞬にしてほのぼのムードに変えた。

 現役引退後も松井氏のトークはますます冴えわたる。

「12年で変わったことといえば、笹本さんの髪の毛かな?」

 14年、巨人の臨時コーチに就任した松井氏は、キャンプイン前日の1月31日に2軍宿舎の全体ミーティングで挨拶。その席上、いじられたのが笹本信二運営部長。巨人に在籍していた12年前と比べて、髪の毛が寂しくなったという意味だが、大先輩を前に硬くなっていた後輩たちは、緊張がほぐれ、大笑いしたのは言うまでもない。

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常にユーモアを忘れない松井