その意味では、2005年に半年だけ在籍したドイツ出身のクロアチア人FW、“赤きサムライ”マリッチだろう。中東に移籍したエメルソンの代役として2005年夏に浦和に加入。決して多彩なタイプではなかったが、常に手を抜かない“熱い”プレーを続け、ペナルティエリア内では優れた得点感覚を発揮。リーグ戦で出場13試合8得点の成績を残した後、天皇杯で決勝戦を含む全試合でゴール(5試合6得点)を決める爆発ぶりで、浦和の25年ぶりの天皇杯制覇に貢献した。すでに退団が決まっていたため、試合終了後には国立競技場を赤く染めたレッズサポーターから感謝の「マーリッチ!」コール。その大合唱にマリッチが涙ながらに応えたシーンは、実に感動的だった。

 その浦和でリーグ戦開幕直後に退団した“野獣”エジムンドのインパクトも強烈だった。ブラジルの名門ヴァスコ・ダ・ガマやセリエAのフィオレンティーナで活躍し、ブラジル代表として1998年のフランスW杯にも出場した世界的な実力者。2001年の10月にJ2降格の危機にあった東京Vに加入すると、すぐさまドリブル、パス、シュートとすべての面で別次元のプレーを見せてJ1残留に貢献。翌2002年も抜群のテクニックで多くのチャンスを創造し、リーグ戦出場26試合で16得点をマークした。この頃は心配されていたピッチ内外での問題行動もなかったが、高額年俸がネックとなって浦和に移籍すると前述した通り、ナビスコ杯2試合に出場したのみでリーグ戦未出場のまま日本を去った。

 その他、昔を遡れば、1993年のセカンドステージから市原に加入し、1年半の在籍中にリーグ戦通算55試合で37得点を決めた“オッツェ”ことオルデネビッツ、横浜マリノス在籍2年でリーグ戦通算47試合34得点、8試合連続得点のJ1記録も持つスペイン人FWサリナス、異次元の左足の強烈フリーキックを武器に横浜フリューゲルスで2年間プレーしたエドゥー、さらには東京Vで記念すべきJリーグ第1号ゴールを決めたオランダ人FWマイヤーなどが「太く短く」の外国人として思い出される。

 近年では、スペイン代表の世界一メンバーであるビジャが、1シーズンのみの短い期間ながらも圧巻のシュートテクニックで強烈なインパクトを残して引退した。コロナ禍の中で再開の目処がつかないJリーグだが、再び世界サッカーの移籍市場が正常化した中で、新たな助っ人たちの来日と、鮮烈な活躍を期待したいところだ。