日本の貿易収支と経常収支が最悪の赤字を記録した。貿易収支は輸出額から輸入額を差し引いた金額で、1月は過去最大となる1兆3816億円の赤字だった。海外とのサービスのやりとりや投資による収支などを加えた経常収支も4373億円の赤字で、これまた最悪となった。
 どちらも2月こそ黒字に転じたが、3月1~20日では、貿易収支が赤字に戻ってしまった。
 原因は簡単で、輸出が振るわないうえに輸入が増えたから。輸出は、欧州危機の影響を受けて中国を中心にアジア向けが落ち込んだ。
 一方で、電力会社は火力発電所の稼働を増やす。ある金融機関の推計によれば昨年度、燃料となるLNGや原油などの輸入が前年度に比べて1.6倍にふくらんだ。
 つまり、自動車や電気製品を世界中に輸出し、経済成長を主導した「貿易立国」が成り立たなくなりつつあるといえる。
 問題は、輸出減少・輸入拡大の傾向が今後も続くとみられていることだ。
 輸出は、成長著しい新興国向けで伸びても価格競争が激しくなることから、
「日本が得意とする自動車も電子部品も価格が落ちていくでしょう」(クレディ・スイス証券の白川浩道・経済調査部長)
 そして輸入も、「原発ゼロ」が実現すれば、LNGや原油の輸入は高水準のまま推移することになる。
「需要が増えているので、LNGや原油の価格の暴騰は考えにくい。年2~3%ずつ値上がりしていくでしょう」(三菱UFJリサーチ&コンサルティングの芥田知至(あくたともみち)・主任研究員)

※週刊朝日 2012年4月27日号