■空港連絡特急でも活躍してきたが……
民鉄や第三セクター路線に目を向けると、小田急電鉄「ロマンスカー」や東武鉄道「けごん」の一部がノンストップ運転となっていた。小田急のケースでは大半の「ロマンスカー」が同社線内(新宿~小田原間)が無停車となっていたもので、箱根湯本まで足を延ばさない列車が結果としてノンストップ列車に数えられる。東武特急の場合は浅草~東武日光間唯一の特急停車駅である下今市を通過する列車が設定されていた。
一方、1978年にデビューした京成電鉄「スカイライナー」は、京成上野~成田空港(現・東成田)間をノンストップ所要時間60分で運転。その後は徐々に停車駅を増やしていったほか、1992年12月に空港第2ターミナルビル駅が開業し、ノンストップ列車の可能性はなくなった。
同じく空港連絡特急として1994年に登場した南海電鉄の「ラピート」(α・β)のうち「ラピートα」は難波~関西空港間をノンストップ運転でスタート。その後は徐々に「β」が勢力を拡大したほか、「α」も停車駅が増えている。
特急以外では、西日本鉄道に途中駅無停車の「直行」が運行されていた。これは朝ラッシュ帯の下り回送列車を客扱い旅客営業としたもので、「上砂川線」のノンストップ列車に近い存在といえる。西鉄の「直行」はのちに停車駅を増やしながら2010年にその役割を終えた。
そのほか、国鉄~JRで運行されている「ホームライナー」に注目したい。嚆矢となった「ホームライナー大宮」は上野~大宮間をノンストップ列車としてデビュー(1984年)。続いて登場した「ホームライナー津田沼」も東京~津田沼間ノンストップ運行であった(錦糸町で運転停車)。
翻って、ノンストップとは異なる一般の特急も、一部の例外を除けばデビュー以降は徐々に停車駅が増えてゆく傾向がある。そんななか、通過「レ」マークを長々とつらねる列車もまだまだある。別の機会にそんな列車たちを探ってみたいと思う。(文・植村誠)
植村 誠(うえむら・まこと)/国内外を問わず、鉄道をはじめのりものを楽しむ旅をテーマに取材・執筆中。近年は東南アジアを重点的に散策している。主な著書に『ワンテーマ指さし会話韓国×鉄道』(情報センター出版局)、『ボートで東京湾を遊びつくす!』(情報センター出版局・共著)、『絶対この季節に乗りたい鉄道の旅』(東京書籍・共著)など。