被害者の声を聞く。この力がない社会で、性暴力を根絶することの困難を思う。私たちはどのように聞けていなかったのか、聞くべきだったかを、李容洙さんの言葉を受け止めながら、被害者と、そして支援者とともにありたいと思う。
今回、亡くなった孫英美さんのことを、金福童さんは「神様が私たちのもとに遣わしてくれた人」と生前、話していた。お買い物を頼めば、1円すらごまかさず、ただハルモニたちの健康を第一に、バランスの良いおいしい食事を丁寧につくり、笑みを絶やさず真摯に支え続けてきた人。「慰安婦」運動が積みかさねてきたものを無力化する「疑惑」を垂れ流すような報道に対し、怒りと悔しさを私はまだ言葉にできない。ただ今は、孫英美さんが天国で、金福童さんと再会できるように祈りたい。
最後に。この原稿を書いている6月15日、正義連は言論仲裁委員会(メディアの自由と独立、また社会的責任と人格権の保護を定めたもの)に、朝鮮日報社など7社に対し訂正報道と損害賠償を求める調停を申請した。メディアのあり方、性暴力報道のあり方が問われている。