現在、出向元企業は約10社、出向先企業は約50社が登録。受け入れ企業は、新型コロナで急激な需要増になった遠隔医療やWeb会議システムなどの業務を展開する都内のITベンチャーが主だ。このため今回は、一定のITスキルのある人材のマッチングに絞り込んだ。
山野さん発案の従業員シェアの特徴は、社員の成長の機会と位置付けている点だ。
アソビューで営業担当の南部彩乃さん(23)は5月1日から、フリーランスと企業のマッチングサービス会社「ランサーズ」に出向。事業プランニングなどのオンライン業務を任されている。南部さんは、「レジャーを通じて人を幸せにするアソビュー」と、「自分らしく働ける場を提供することで人を幸せにするというランサーズ」は根底でつながっている、と気付いたとき視界が開けたという。
「当初は戸惑いましたが、モチベーションを維持したままキャリアアップを図ることができる、と今は確信しています」
山野さんが目指すのは「人材の流動化が加速度的に進み、誰もが不自由なく仕事を選択できる社会」の実現だと言う。
従業員シェアはコロナ禍を機に、国内外の様々な企業間で同時多発的に広がった。
「今までなかった領域のサービス。これからも日本で定着していくのではないか」
5月27日の衆院国土交通委員会。国土交通省の担当局長は、タクシー事業者に9月末期限の特例として認めた飲食などの貨物配送を、恒久的に認めることも検討する考えを示した。
この特例は、タクシー利用者が激減する一方、飲食店から食事の宅配需要が高まり、4月下旬に導入。開始から約1カ月間の申請件数は1300事業者、車両約4万台分にのぼった。
飲食デリバリー「出前館」と業務提携したタクシーアプリ運営会社「モビリティテクノロジーズ」を通じ、5月に約2週間、「タクシーデリバリー」をした日の丸交通の乗務員、手塚峻平さん(27)は言う。
「タクシーとフードデリバリーのピーク時間が異なるため、タクシーの予約や路上のお客様がいないタイミングで出前館の注文をとるなど、バランスよく稼働できました。緊急事態宣言後、特に夜は人の移動が減って夕食時間のフードデリバリー需要は大きく、タクシーの減収を補う一助になりました」