日比谷の取り組みは、全国でも進んでいるとされる。オンライン授業に対する教師のスキルも高まり、英語などでは生徒との双方向の授業もできるようになったという。副校長は「教員の頑張りで、突貫でオンライン授業ができる状況を整えることができた。かなり苦労したが、生徒の学びを保障するために、影響が最小限になるように取り組んできた」と説明する。
私立の灘高校(兵庫)でも、GW明けから授業動画や音声付きのプレゼンテーション資料をインターネット上に公開した。授業の進み具合については「7~8割の学習内容は達成できたとみている。7月いっぱいまで授業を行えば、さほど大きな遅れにはならなそう」(教頭)という。
地域でも差が生まれた。岩手県では感染者が出ていなかったため、盛岡第一高校が4月から休校したのは2日間のみ。グループ活動は自粛するなど影響はあるものの、対面の授業を続けてきた。文化祭やスポーツ祭なども実施する方向で検討している。
政府は「9月入学」を検討するなど対策に取り組む姿勢を示したが、ひとまず見送りになった。引き続き不透明な情勢だが、現場の教員からは「入試の出題範囲を狭めたり、試験日を遅くしたりするなどの対応は取れるはず。早く結論を出してほしい」という声が漏れる。早急な対応が求められている。(本誌・池田正史、吉崎洋夫)
※週刊朝日 2020年6月26日号