日比谷の取り組みは、全国でも進んでいるとされる。オンライン授業に対する教師のスキルも高まり、英語などでは生徒との双方向の授業もできるようになったという。副校長は「教員の頑張りで、突貫でオンライン授業ができる状況を整えることができた。かなり苦労したが、生徒の学びを保障するために、影響が最小限になるように取り組んできた」と説明する。

 私立の灘高校(兵庫)でも、GW明けから授業動画や音声付きのプレゼンテーション資料をインターネット上に公開した。授業の進み具合については「7~8割の学習内容は達成できたとみている。7月いっぱいまで授業を行えば、さほど大きな遅れにはならなそう」(教頭)という。

 地域でも差が生まれた。岩手県では感染者が出ていなかったため、盛岡第一高校が4月から休校したのは2日間のみ。グループ活動は自粛するなど影響はあるものの、対面の授業を続けてきた。文化祭やスポーツ祭なども実施する方向で検討している。

 政府は「9月入学」を検討するなど対策に取り組む姿勢を示したが、ひとまず見送りになった。引き続き不透明な情勢だが、現場の教員からは「入試の出題範囲を狭めたり、試験日を遅くしたりするなどの対応は取れるはず。早く結論を出してほしい」という声が漏れる。早急な対応が求められている。(本誌・池田正史、吉崎洋夫)

週刊朝日  2020年6月26日号

著者プロフィールを見る
池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

池田正史の記事一覧はこちら
著者プロフィールを見る
吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

吉崎洋夫の記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
「更年期退職」が社会問題に。快適に過ごすためのフェムテックグッズ