100年以上の歴史を持つメジャーリーグでは、破られることは未来永劫あり得ないだろうとみられる「不滅の大記録」が数多く存在する。日本人ファンにとっては2004年にイチローが84年ぶりに記録更新したシーズン262安打が印象深いだろう。
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だがメジャーにはまだまだ驚きの記録が残されている。
イチローに敬意を表して、まずはシーズン記録から見ていこう。比較的最近で注目したいのはジャイアンツなどで活躍したバリー・ボンズ。言わずと知れたメジャー歴代本塁打王(通算762発)のボンズは2001年にシーズン最多記録の73ホーマーを放った。シーズン本塁打は「ステロイド時代」とも揶揄される1990年代後半から2000年代前半を除けば61年のロジャー・マリスの61本が最多で、ボンズ以降では17年のジャンカルロ・スタントンの59本塁打だ。年間73本塁打を打つスラッガーは今後もまず現れないだろう。
ボンズは01年に長打率8割6分3厘、04年には出塁率6割9厘というメジャー記録も保持。だが本塁打も含めて最もアンタッチャブルな記録といえば、2004年の232四球だろう。シーズン四球数のトップ3はボンズが独占(2位は2002年の198四球、3位は2001年の177四球)しており、21世紀以降でボンズ以外で最多だったのはジョーイ・ボット(現レッズ)が2015年に残した143四球なのだから、200を超える四球数は感覚的に異次元の数字に近い。
当時のジャイアンツにはボンズ以外に強力なスラッガーがいなかった(チーム2位の本塁打はマーキス・グリッソムとペドロ・フェリスの22本)。そのためボンズは勝負を避けられることが多く、232四球の過半数を占める120個は敬遠によるもの。言うまでもなくシーズン最多記録であり、2位が2002年のボンズが残した68個であることを思えば、このシーズン120敬遠四球こそが不滅の記録と言えるのかもしれない。