邪馬台国の女王・卑弥呼は占いを用いて国を治めたと言われるほど、日本における占いの歴史は古い。現代でも多種多様な占いが流行し、悩める人々は、これまた多種多様な「占い師」の元に集う。
そんななか、24時間365日いつでも悩める人に寄り添ってくれるのが「電話占い」だ。1分あたり数百円の利用料で、どんな悩みでも聞いてくれて、占いで未来を導いてくれる。電話で気軽に利用できることから、5,6年前からブームになり始めた。しかし、その「裏側」は私たちが想像する以上に闇が深いようだ。
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「人の悩みに寄り添って、少しでも社会に役立つことがしたいと思って、この仕事を選びました」
東京都に住む主婦の美代さん(仮名=33)は、1年ほど前から半年間、「電話占い」師として働いていた。占いサイトに登録をして、指名が入れば相談者と電話をして、その通話時間に応じてギャラが振り込まれるシステムだったという。
しかし美代さん、占いに関しては“ズブの素人”。有名占い師に師事したり、専門的な学校に通ったりした経験はまったくなかったという。とはいえ、独学で心理学の勉強をしていたことから、何か人に寄り添う仕事がしたいと考えていた美代さん。ネットサイトの求人募集で見た、電話占い師の求人にダメ元で応募したという。
「担当者との面接では占いの知識はないことを伝えたうえで、仕事への熱意と心理学の知識をアピールしました」
結果は、なぜか合格。こうして美代さんは“占いの知識がない電話占い師“としてデビューすることが決まった。
デビューするにあたって研修を受けた際、担当者からこんな言葉をかけられた。
「電話占いを利用してくる人は、問題解決よりも話し相手が欲しい人がほとんどです。だから寄り添う気持ちが一番大切なのです」
占いの知識が全くない美代さんにとって、救われるような言葉だったという。
デビューの日が決まり、美代さんのプロフィルが作られた。そこには「声だけであなたのことが分かる」「電話越しでオーラを感じる」など、本物の占い師っぽいフレーズが並んでいた。そして「自宅で撮影した写真とは思えない仕上がりに驚いた」というほど、見事な(?)プロフィル写真が仕上がっていた。