「10年前に米国からチケット販売のプロをヘッドハント。神宮の試合は人気となり、完売試合も増えた。当然、スポンサーも毎年のように増えている。そして新・神宮建設が発表されたことで、歴史ある今の神宮の価値も上がっている。開幕延期の今季だが、シーズンチケットを含め売れ行きは絶好調。今後は神宮グッズなども発売されるでしょうね」

 球団と球場が一体となった改革を断行。数人で観戦できる特別席を新設、画期的なオンライン型の販売方法も導入した。チケット販売に関しては12球団イチと呼べるほどになった。もともと都心の一等地にある緑に囲まれた本拠地。1度ファンがついてしまえば、リピーターになるのは必然の流れだ。

「渋谷を中心とした盛り上がりも、影響を与えるかもしれない」

 他競技やストリート事情にも詳しいスポーツライターは、若者中心の流れが球界を変えるかもしれないという。

「神宮から徒歩圏内の代々木公園内に、ストリートバスケの聖地とサッカー専用スタジアム建設の機運が高まっている。日常の中に、気軽で当たり前にスポーツがあること。新・神宮もその流れに乗ろうとしており、球場のアミューズメントパーク化を掲げる。若者から圧倒的に支持される球団になれば、これは魅力的なこと。若者のパワーはお金も生み出しますから」

 多くの文化が渋谷界隈から発信されてきた。ヤクルトもその1つに加わり中心に自分がいる。選手にとってこれだけ魅力的なことはないだろう。

「昨オフ、ソフトバンク柳田悠岐が7年の長期契約を結んだことがどう影響するか」

 ヤクルト担当記者は、ライバルの動向が山田の進路を左右する可能性について言及する。

「(柳田が)メジャー移籍を諦め国内を選んだ時にカギとなったは、『やりがい』や『生き様』。福岡でのソフトバンクの愛され方が大きかった。広島ファンの柳田にとって、黒田博樹(元広島)と広島の関係にも感銘を受けた。柳田と山田は進路について話しているとも聞く。ヤクルトにとって山田はなくてはならない存在。本気で必要とされていることが伝われば、山田残留もゼロではない」

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野球に集中できる環境ではヤクルトが一番?