


新型コロナウイルスの影響による業績の低迷は、企業で働く人びとの“懐”も直撃している。夏のボーナスはリーマン・ショック後以来の大幅減となり、さらに冬も厳しいとみられる。
機械部品メーカーに勤める神奈川県の50代男性は、コロナの影響で残業ができなくなり、手取り収入が月38万円から25万円に減った。時短勤務を迫られたほか、元請け企業からの発注が減って仕事そのものが減ったためだ。専業主婦の妻と小学生の子ども2人を抱え、もともと生活に余裕があるわけではない。
「生活費のほか、子どもの教育費や住宅ローンの負担が重い。とくに住宅ローンは数年前に35年ローンを組んだばかりで、まだ1500万円以上の残高が残っています」
リネンサプライ工場で働く岐阜県の男性(50)は「生活が崩壊しそうです」と訴える。シーツ類などを洗濯してホテルに提供しているが、4月は時短勤務になりながらも仕事がない状態で、5月には週3日の出勤に。月給は8万~10万円減り、20万円を見込んだ夏のボーナスは、業績悪化で支給されなくなった。6月までの4カ月間の収入は、前年よりも50万円超下がった。
時短勤務ではなくなったものの、給料は戻るどころか、今後はさらに減るかもしれない。「自由に使えるお金が少なくなりました。服なんて買えませんし、外食もほとんどできない。しかし限界があるので結局、カードローンなどで借金しています。あと数カ月、この状態が続くと……もう生活できません」
SMBC日興証券によると、5月29日までに発表された東証1部に上場している1428社の2020年3月期決算は、売上高の合計が495兆9228億円で前年比2.1%減、純利益が25兆3854億円で27.2%減と、それぞれ落ち込んだ。
とくに、新型コロナの影響が表れた20年1~3月期に限ると、売上高の合計は123兆3157億円で、前年同期より7%減。純損益は、5兆9509億円の黒字だった前年から一転、1兆473億円の赤字へと沈んだ。つまり「日本株式会社」は、年初からコロナで赤字経営に陥ったのだ。