阿部:大森監督は撮影が速い分、撮影待ちの時間が意外と長かったでしょ。僕はその間に映画館へ行って(長澤さん主演の)「コンフィデンスマンJP」を見たこともありました(笑)。「あぁ、この人と今一緒に撮っているんだなぁ」って不思議な感じでしたよ。「コンフィデンスマンJP」と「MOTHER マザー」の長澤さんは全然違うけど、秋子は無理に自分を崩している感じがしないね。

長澤:ありがとうございます。私は撮影で、阿部さんのダンスシーンに驚いたんですよ。「これでいいのかな」と言うのを聞いて、「阿部さんでも悩むことがあるんだ」って。

阿部:秋子と遼がゲームセンターで初めて出会うシーンね。僕は自分から「これはNG」とか言わない方ですが、衣装合わせの時に、ダンスをするシーンは「ちょっと無理かもしれないです」って言ったんです。そうしたら「振りを簡単にしますからそこだけなんとかお願いします」と言われて。まさかその後でもう1回、あの狭い部屋で踊ることになるとは……。聞いてなかったです(笑)。

長澤:借金取りに追われている遼が、秋子を捜し出して簡易宿泊所にやってきたシーンですよね。「出て行ってよ」と拒否する秋子に、遼は初めて会った時のことを思い出させるかのようにダンスを踊る。外国人のノリを見ているようでした(笑)。

阿部:すっごく狭い部屋だったでしょ。踊るのが恥ずかしくて、あの時が一番撮影に集中していなかったと思う。ダンスが得意だったら「俺のダンスを見てくれ!」という感じで踊れるからいいと思うんだけど(苦笑)。

長澤:でも、私はそのシーンが好きだったんですよ。撮る前から楽しみでした。みんながまさに阿部さんに求めるシーンだと思います。カッコ良く決めて踊るということではなくて、阿部さんという存在が踊っているみたいで、ぴったりだなと思っていました。ただ、私がもし踊れって言われたら超恥ずかしいし、絶対イヤですが(笑)。

阿部:遼という男は、ホテルで秋子をぶん殴ったり子どもを投げ飛ばしたり、暴力シーンが結構あったでしょう。自分で見てイヤだなと思ったので、逆に、演技としていいなと思えたことは良かったことですね。観客にも嫌悪を感じてもらいたいし。演技で暴力に対して嫌な気持ちになったのは初めて。暴力が嫌なことだというのを見せられた、という感覚も初めてでした。長澤さんが良かったことは?

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