山下:英語を学ぶきっかけは、アメリカを横断する仕事があって、通訳を通さずしゃべることができたら、もっとこの旅は素晴らしいものになっただろうな、という漠然とした思いからでした。ここまで続けてこられたのは、自分に負けたくないから。自分が一度やると決めたことなのに、達成できないのは悔しいんです。
でも、自分のためだけに頑張るのには限界があることも知りました。だんだんと、自分を応援してくれる人のために頑張りたいと思うようになった。長い間、自分のことで必死でした。走り続けるだけで振り返る余裕もなかったけど、だんだん大人になって、自分がここに立てるのは応援してくれる、必要としてくれる人がいるからなんだなと気づいたんです。いろんな失敗をして、あちこちを擦りむいて……僕、何回も複雑骨折してますからね(笑)。でも、たくさんの失敗をして、たくさんの痛みも感じてきたから気づけたのかなって。まさにNO PAIN NO GAINです。
このドラマで歌手としても世界デビューを果たす。エンディング曲は、山下さんの新曲「Nights Cold」だ。
山下:世界中の人に聞いてもらえるのは驚きましたし、感激もしました。歌って演技をする、というこの二つが僕の基盤になっています。月と太陽みたいな存在というか、両方やらせていただいてバランスが取れているので、今回のドラマも歌もたくさんの人に届いてほしい。でも、これはまだまだ通過点です。もっと自分の可能性を広げて深めて、前に進んでいきたいと思っています。
(ライター・大道絵里子)
※AERA 2020年7月20日号より抜粋