会食もゼロになり、事務所にあふれていたいただきもののお菓子もなくなった。電話番のために事務所を離れられないから、昼と夜は弁当を持参。過去に手掛けた健康関連の書籍の内容を参考にしながら、野菜やタンパク質豊富で炭水化物控えめの食事を心がけた。これまではランチは外食、夜は会社でお菓子をつまみ、帰宅後深夜に食事をしていたが、弁当生活のおかげで19時半には食事を終えるようになった。無料の携帯アプリで毎日の体重と体脂肪、食べたものを記録するほか、帰宅後はYouTubeを見ながら1時間ほどエクササイズに励んだ。

 4月は「非常モード」のスイッチが入っていたせいか、食事の量が減ったことにとくにつらさを感じなかった。5月に入ると今後の仕事の目途がつき、次第に不安も消えていった。このころには、すっかり弁当とエクササイズ生活が習慣になり、甘いものに対する欲求も薄れ、お菓子を見てもそれほど食べたいと思わなくなった。

 結果、4月からの約3カ月半で8.5キロの減量に成功。60キロ代後半だった体重は、50キロ代に。標準体重まではあと2、3キロというところまできた。

「以前食べていた仕出し弁当を見ると、『こんなにごはんを食べていたんだ』と驚きます。自信もついたし、自分の食生活を見直すいいきっかけになりました」

 そう、外食する機会が減った今は、ダイエットのチャンスでもある。だが、自炊の手間はできるだけ省きたい。

『やせるおかず 作りおき』の著書があり、自身も1年間で26キロのダイエットに成功した料理研究家の柳澤英子さん(60)は、脳が満足する家メシのポイントは“冷凍”と“レンチン”にあるという。

「野菜や肉、魚などの食材を生のまま切ったり味付けしたりして冷凍し、食べるときにレンジで加熱すれば立派な一品です。レンチンする際に調味料が染み込むので、少ない調味料でもしっかり味がつき、ダイエットにピッタリです」(柳澤さん)

 柳澤さんが、簡単に作れる作り置きレシピを紹介してくれた(下記のレシピ)。時間があるときに仕込んでおけば、忙しいリモートワーク中でもすぐに食べられるすぐれものだ。(フードジャーナリスト・浅野陽子、編集部・中島晶子、藤井直樹)

●料理研究家・柳澤英子さんの冷凍・レンチンで脳内満足レシピ

鶏肉のトマピーソース
(1)鶏もも肉1枚に塩コショウ少々をふり、ミニトマト8個、ピーマン1個と玉ねぎ4分の1個を粗く刻んでのせる。
(2)酢、トマトケチャップ各大さじ1を混ぜて(1)にかけ、冷凍。
(3)凍ったまま電子レンジで6分加熱。上下を返してさらに4分加熱。オリーブオイルをかけて食べる。

豚肉と白菜の重ね蒸し
(1)ざく切りにした白菜2分の1枚、豚バラ薄切り肉200グラム、塩コショウ少々、しょうが1かけ、刻んだザーサイ、残りの白菜2分の1枚の順にのせ、冷凍。
(2)凍ったまま電子レンジで6分加熱。上下を返して5分加熱。ポン酢醤油をかけて食べる。

白身魚と大豆のキムチ蒸し
(1)蒸し大豆100グラム、白身魚を容器に入れ、塩コショウをふり、白菜キムチをのせて冷凍。
(2)凍ったまま電子レンジで5分加熱。上下を返して2分加熱。ごま油をかけて食べる。

AERA 2020年7月20日号より抜粋

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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