『けっこんしようよ』(岩崎書店)という絵本があります。男女間に限らず、何とでも結婚することが許されている保育園の話です。くまのぬいぐるみや図鑑、中には自分自身と結婚する子どももいる。どんな選択も結婚式が挙げられ祝福されます。そういう発想で言えば、僕は今、自由と結婚している状態と言えるかもしれません。
もし仮に国民全員が結婚していて、仕事や子育てに追われていたとする。そうなると、災禍のとき、ボランティアに行ける人も少なくなる。全体のリスクを分散化する意味でも、独身で自由な人は社会に一定数いたほうがいい。
フィリピンはシングルマザーの多い国ですが、家族や親せきが総出で子どもの面倒を見ている。僕も時間があるときは、たまに人の赤ちゃんを預かります。独身の人が結婚している人をサポートしたり、代わりに結婚している人が独身の人を支えたり、みんなで支え合える仕組みがあるといいなと思います。
根底に寂しさを抱えている人は、コロナ禍で結婚してもやっぱり寂しいのではないかなという気もします。まずは、自身の幸福の尺度をきちんと把握することが大切だと思いますね。(本誌・松岡瑛理)
※週刊朝日 2020年7月26日号