そこに隠されていた思いを知るのは、少し後になる。川端は年明けの2020年1月に腰の再手術を受けることを決断。その時の「最後の希望です。治ることにかけて、来年(2020年)がんばります」という彼の言葉に、思いが込められていた。
もともと遊撃手だった川端は2013年から三塁手に転向すると、翌2014年から3年連続で打率3割をマーク。チームが14年ぶりに優勝した2015年には全試合に三塁手として出場し、首位打者、最多安打、ベストナイン、そしてゴールデングラブ賞も獲得した。
だが、2017年の春季キャンプで椎間板ヘルニアを発症し、リハビリを続けながら復帰を目指したものの、8月になって手術。翌2018年は5番・サードでスタメン出場した開幕戦でホームランを打ち、夏場には決勝3ランとサヨナラ2ランで連夜のお立ち台にも上がったが、シーズンでは97試合の出場で打率.259と、本来の姿からはほど遠いものだった。
昨年は前述のとおり、主に代打で打率.164。本来は打って守るプレーヤーのはずが、思うようなバッティングができず、なかなか本職のサードの守備にも就けない。腰の状態がこれ以上良くなることがないのであれば、もう一度手術に踏み切るしかない。もちろん失敗すれば選手として終わる可能性もあるが、成功して腰の不安がなくなれば、またサードを守ることもできる。そうなれば、もともと技術のあるバッティングでも、自ずと結果はついてくるはずだ。だから、川端にとって腰の再手術は選手として「最後の望み」だったのだ。
今年1月に徳島市内の病院で手術を受け、リハビリのためにキャンプは不参加。本来ならば、開幕には間に合わないはずだった。ところが新型コロナウイルス感染拡大の影響で開幕が延期され、その間にリハビリを終えた川端は、6月17日のロッテとのファーム練習試合で実戦復帰すると、20日の西武とのイースタンリーグ開幕戦にも代打で出場。二軍とはいえ“開幕”に間に合う形となった。