巨人は先発・入来祐作が初回に野村謙二郎、新井貴浩に被弾するなど5点を失い、2番手・條辺剛も連打で3失点と大炎上。いきなり8点の先制パンチを食らう。

 並みのチームならこれでギブアップするところだが、さすがは巨人が誇る超重量打線。松井の3打席連続弾や元木の2本のタイムリーなどで追い上げ、7回終了時点で8対10。「ひょっとしたら?」と逆転を期待したG党も多かったはずだ。

 長嶋監督も7回に上原浩治、8回から桑田真澄を投入する豪華リレーで必勝を期したが、8回に桑田が2死からロペスにタイムリー二塁打を許し、3点差に……。

 それでも巨人打線は、ただでは終わらない、9回に江藤の2ランでたちまち1点差。なおも2死一塁で、一発が出れば逆転サヨナラと最大の見せ場をつくるも、代打・村田真一が中飛に倒れ、10対11で惜敗……。

 ふつうなら「1回の8点が痛かった……」と悔やむところだが、長嶋監督はけっして言い間違いではなく、「8回の1点かな」と残念がった。そして、この1敗でV逸が決定的になると、翌28日、勇退を発表。ひとつの時代が終わりを告げた。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2019」(野球文明叢書)。

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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