また、歯並びが悪いことが歯周病悪化の原因になっている場合は矯正治療をすすめることもあります。さらに歯ぎしりや食いしばり、タッピング(歯をカチカチさせる)といったブラキシズムの癖があると歯周病が悪化しやすいため、睡眠時にマウスピースを装着して歯や関節への負担を軽減させる治療をおこなうこともあります。

■一通り処置が終わったら、再検査で治療効果を確認

 歯周基本治療が終わったら治療効果を確認するために再度、歯周ポケットの深さを中心とした検査をおこないます。治療によってプラークがきれいに取り除けると歯に歯肉が付着しやすくなるため歯周ポケットは浅くなり、炎症がおさまって歯肉からの出血もなくなります。この状態が確認できれば治療はひとまず終了となり、定期的なメインテナンス期間に入ります。

 一方、歯周基本治療をしてもポケットが浅くならない、炎症がおさまらない部位が残っている、という場合は再度、スケーリング・ルートプレーニングをおこなうか、問題の部分のみ歯周外科治療へ移行し、再検査をする、ということになります。歯肉炎~軽度の歯周炎の人は、歯周外科治療をしなくても、こうした処置でよくなることがほとんどです。

※『続・日本人はこうして歯を失っていく』より

≪著者紹介≫
日本歯周病学会
1958年設立の学術団体。会員総数は11,739名(2020年3月)。会員は大学の歯周病学関連の臨床・基礎講座および開業医、歯科衛生士が主である。厚労省の承認した専門医・認定医、認定歯科衛生士制度を設け、2004年度からはNPO法人として、より公益性の高い活動をめざしている。

日本臨床歯周病学会
1983年に「臨床歯周病談話会」としての発足。現在は、著名な歯周治療の臨床医をはじめ、大半の会員が臨床歯科医師、歯科衛生士からなるユニークな存在の学会。4,772名(2020年3月)の会員を擁し、学術研修会の開催や学会誌の発行、市民フォーラムの開催などの活動をおこない、アジアの臨床歯周病学をリードする。