個性派俳優・佐藤二朗さんが日々の生活や仕事で感じているジローイズムをお届けします。実は今年、俳優デビュー20年周年を迎えた佐藤さん。出演作品の思い出を振り返ります。
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いま気づきました。
僕、ドラマや映画に出るようになったのが31歳からなのですが、現在、僕の年齢は51歳。
そう。僕、今年、デビュー20周年なのです。
それを記念して、「佐藤二朗全国リサイタルツアー」を敢行したいと思うわけないだろう馬鹿野郎。
おっとごめんなさい突如として汚い言葉が。大体、「デビュー」という言葉がこれほど似つかわしくない人もいないでしょうし、「リサイタル」という言葉に至っては意味も分からず雰囲気で使ってしまいましたごめんなさい。
20周年を誰も祝ってくれないので、ちなみに先ほど妻に「お!すごいこと気づいちゃった!俺、今年、俳優20周年だ!」と言ったら「ふーん」と言われました。そもそも当の本人さえ今年も8月になってようやく気づいたんです。7分ほど前にようやく気づいたんです。だからせめて、このコラムで少しだけ、20年を振り返ろうと思います。
暑さに弱く寒さに弱いという面倒体質で名を馳せた僕ですから、まず、この20年で一番暑かった作品から。
それは、映画「幸福のアリバイ~Picture~」です。撮影は真夏の古い日本家屋で行われました。空調なし。繰り返します。空調なし。そして、設定は、お葬式。喪服。繰り返します。喪服。さらに撮影は日中に行われたのですが、設定は夜なので、窓という窓に暗幕を張り、風通しナッシング。(あ、4年前の作品ですからね。もちろん新型コロナの前ですからね。)
もう暑いなんてもんじゃない。ただでさえ汗っかきの僕は、もはや人というよりはほぼ汗。人が台詞しゃべってるんじゃなくて汗が台詞しゃべってる感じ。どんな感じだ。「役者だけに暑い思いをさせるわけにはいかない!」と颯爽とジャケットを羽織った監督の陣内孝則さんも開始12分後にはジャケットを脱いでおりました。とにかく暑かった。
次は一番寒かった作品。それは映画「大洗にも星は降るなり」。