女性アーティストからインスピレーションを得ることが多い矢部の魅力を伝えるかのように、鈴木祥子、菅野みち子ら女性アーティストの参加や女性とのコラボ曲が多いのも本作の粋なところ。特に、「加藤千晶+鳥羽修」の他、「鈴木さえ子+tomisiro」「鈴木博文+emma」「naomiche and keiiche」「ポニーのヒサミツ+中川理沙」など男女の組み合わせが多いのもほほ笑ましい。
矢部浩志というアーティストはこんなにもポップかつフェミニン、都会的なポップスを多く書いていたのか……と改めて気づかせてくれるこのトリビュート・アルバム。レーベルである「なりすレコード」の通販ページからのみ購入でき、制作にかかった経費を除いた売り上げ全額が矢部の闘病支援のために寄付される。こうした音楽家が日本のポップ・ミュージックの歴史を陰でしっかりと支えているということを知っておいてほしい。(文/岡村詩野)
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