ギャンブル好きで知られる直木賞作家・黒川博行氏の連載『出たとこ勝負』。今回は人間ドックの結果とメタボ解消について。
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よめはんとふたり、半月ほど前に受けた人間ドックの結果を聞きに行った。いっしょに診察室に入って、わたしから説明を聞く。
腹囲が九十センチで、軽度の脂肪肝がある、といわれた。加齢による白内障あり、心臓右脚ブロックあり、左腎臓に嚢胞(のうほう)あり(これらは毎年いわれる)。血圧は、降圧剤を服(の)んでいるが、上が百四十で下が八十だから、ほぼ正常範囲内。中性脂肪や血糖値はなんとかクリアした。ピロリ菌もなし。毎日、六種類もの薬を服んでいる(これをよく忘れる。一日に二回、服むこともある)のが功を奏したのだろう。食道と胃の内視鏡検査も異常はなかった。
よめはんもすべての数値に支障はなかったが、便潜血があるといわれた。
「こないだ、大腸内視鏡でポリープをとったばっかりです。その出血ですか」よめはんはいったが、「関係はないでしょう」と医師にいわれ、再検査を勧められた。
病院からの帰り道、「また、半日もかけて下剤を飲まんとあかん」
よめはんがビェーンと泣き真似(まね)をするから、牛丼を奢(おご)ってやった──。
次の日、よめはんに運転免許の高齢者講習の案内が来た。わたしは去年、講習を受けているから、「すぐにでも教習所の予約をとれ」といった。よめはんは近くの教習所に電話をしたが、翌月はもう予約がいっぱいで、翌々月下旬の講習日がとれた。このエッセイをお読みの方は講習案内がとどき次第、予約されることをお勧めします。
次の日、わたしは左のアキレス腱(けん)が痛いことに気づいた。階段の上り降りのときがけっこう痛い。はて、なんじゃろか。テニスで捻挫したんか──と考えて、ハッと気づいた。これは痛風発作の前兆やんけ、と。わたしの痛風は足の親指ではなく、いつも踵(かかと)に出る。痛風の発作抑制薬であるコルヒチンは常備しているが、これを服むと、わたしの場合は鼻血が出ることがある。鼻血はずいぶん気持ちわるい。