でも、そんな時でも花巻東時代の仲間たちは成功を信じてくれた。それが僕の大きな支えになりました。「今に見てろよ」と心に強く誓い、多くの批判は結果を出して打ち消すしかないと思って臨んだ今季、6月30日のオリックス戦でプロ初勝利を挙げました。ところが、いざ結果が出ると批判した方々に対しても感謝の気持ちしか出てこない。何か不思議な感覚でしたね。今では昨年のことも笑って振り返られる。当時は苦しくて大変でしたけど、時がたった今、「あの時があったから」と素直に思える。そしてこれから先、もっとそう思える自分がいるはずです。だから思うんです。これまでは、すべてにおいて最高のシナリオだ、と。
僕はまだ本当のピッチングを覚えていません。相手のバッターが嫌がるストレートを投げるとか、嫌がる球種を持つとか、自分中心ではなくバッター目線での投球術を知ることも大切だと思っています。そしてピッチングフォームにしても、何万回もシャドーピッチングを繰り返し、キャッチボールを一球一球大事にしながら、本物のフォームを体に染みこませていかなければいけないと思っています。花巻東時代のようにやや左ひじを下げた今季は、ある程度しっくりきている部分はあります。
でも、まだまだ。これから先、さらに野球を深く、ピッチングを深く考えていって、いずれはチームのエースと呼ばれるようになりたい。そして、ローテーションに入って何年も続けて成績を残した先には、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)のメンバーに選ばれるような日本を代表するエースになっていきたいと思います。