驚異的な視聴率を誇る「半沢直樹」は役者陣の大仰な演技や勧善懲悪の展開から、現代の“時代劇”とも称される。だが、それを質の高い“現代劇”として成立させているのは、主演の堺雅人の卓越した演技観と名作ドラマ「西部警察」との共通点にあった。
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日曜劇場「半沢直樹」(TBS系)が好調だ。8月16日に放送された第5回の視聴率は25.5%。令和のドラマでは最高の数字だが、まだまだ上昇するかもしれない。なにせ、7年前の第1シリーズでは、最終回に42.2%を記録。これは平成のドラマで最高の数字である。
そんな好調の理由について「スーツ歌舞伎」とか「令和の時代劇」といった言葉が飛び交っている。実際、歌舞伎役者や時代劇のスターも出演、そうじゃない人の演技も現代ドラマとは思えないほど濃い。
前半(1~4回)に活躍した歌舞伎役者の尾上松也は、現代ドラマに出始めた頃、その派手な動きや声の張りを抑えるよう注意されたというが「半沢」に限ってはむしろ逆だと語った。
「やりすぎたシーンはないですね。(略)足りなかったんじゃないかなと、不安になりました。まだ、やったほうがよかったのかなと。先輩方のを見てたら(笑)」(「サワコの朝」TBS系)
また、ストーリーも勧善懲悪だし「倍返し」などの決めぜりふもあり、上戸彩が演じるヒロインの内助の功が武士の妻みたいだという指摘も。とまあ、現代ドラマっぽくないところがめじろ押しなのだ。
が、それ以上に注目したいのは、史実の取り込み方だ。今回は前半がライブドア騒動を思わせる企業買収の話、後半が民主党政権時代にもあった航空会社の再建をめぐる話になっている。
それゆえ、登場人物のモデル探しも盛り上がっていて、前出の尾上にしても、IT企業家の役であることからラフなファッションがホリエモンに似ているなどの指摘が飛び出した。また、航空会社の再建に辣腕を振るおうとする国土交通大臣の役は江口のりこで、その白スーツ姿が蓮舫みたいだと話題に。「時間外取引」や「タスクフォース」のような聞き覚えのある用語も出てきたりする。