■近視の進行を抑制する治療法も
世界的にも近視人口が増加していることから、近視の進行を抑制する治療法が注目されている。
近年、有効性や安全性が評価されてきているのが「オルソケラトロジー」という治療だ。近視の人は、焦点が網膜の手前で合っている状態のため、遠くのものにピントが合わない。そこで、睡眠中に特殊なコンタクトレンズを装用し、一時的に角膜の形状を平らにすることで、焦点を後方にずらし、網膜で焦点が合うようにする。すると朝、コンタクトレンズを外しても、裸眼で遠くが見やすくなる。効果を持続させるためには、毎晩装着することが必要だ。慶応義塾大学病院眼科の鳥居秀成医師はこう話す。
「近視などの屈折異常の矯正手段として実施されてきましたが、近年は眼軸長の伸長抑制効果が数多く報告されているため、強度近視の進行抑制も期待されています。ただ不適応の場合もあるので、オルソケラトロジーを扱っている医療機関でまず適応検査を受けていただくことが重要です」
身体的な負担が少なく、いつでも治療を中断できるのがメリットだが、自費診療のため費用が高額になる。また、感染症のリスクがあるため、子どもが使用する場合は大人が管理することが重要だ。
(文・中寺暁子)
≪取材協力≫
杏林大学病院 眼科主任教授 平形明人医師
慶応義塾大学病院 眼科 鳥居秀成医師
※週刊朝日ムック『新「名医」の最新治療2020』より