3年ぶりに開幕投手を任された昨年は、いずれもキャリアワーストの5勝12敗、防御率4.57。チームでは唯一の規定投球回到達を果たし、クオリティースタート(先発で6回以上投げて自責点3以下)13試合もチームトップだったが、200万円減の年俸9000万円(推定)でサインした契約更改後の会見では「不甲斐ないシーズンでしたし、苦しい、きついシーズンでした」と振り返り、「イチから鍛え直して、投手陣を引っ張っていけるようにやっていきたい」と2020年シーズンを見据えていた。

 迎えた今シーズン、オープン戦3試合で13イニングを投げて11三振を奪い、与四死球1、防御率1.38。3月21日の阪神との練習試合(神宮)でも6回1失点と、調整は順調そのものに見えた。

 ところが新型コロナウイルス感染拡大の影響で、一度は4月24日に先送りとなった開幕は、さらに6月19日に延期。自主練習期間を経て、6月に入って再開された練習試合では、6日の巨人戦(東京ドーム)で4回5失点、14日の楽天戦(神宮)でも3回途中6失点と“炎上”する。

 そんな小川に、シーズン開幕を前に“おまじない”をかけたのが、今季からチームの指揮を執る高津臣吾監督だった。

「そのままシーズンに入られると絶対に良くないと思ったのでね。練習試合でいい成績を残してシーズンに入った方が気分はいいかもしれないけど、そこは『まったく違うモノだよ。同じゲームでも全然違うゲームだよ』って(話をした)。それが上手くいったかどうか分からないけど、練習試合と本番はまったく違うモノだっていうのは、彼もちょっと思ったのかもしれないですね」

 6月20日の中日との開幕第2戦。初めてオアシスの曲に乗って公式戦のマウンドに上がった小川は、6回を2失点に抑えて高津監督に初勝利をプレゼントする。その後も、打線の援護にも恵まれて自身初の開幕4連勝。「練習試合ですごく悪くて、そこからしっかり切り替えて、(自身の)初戦で高津監督にウイニングボールをプレゼントできたっていうところで、1つ流れに乗れたっていうのはあったと思います」と話す。

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2015年以来の日本人投手の2ケタ勝利なるか?