高校の「真」の実力を測るためには、合格者数だけでなく「現役進学率」も重要だ。一人が複数合格や卒業生数の多さに影響されず、進学実態の実態をより正確に表せるからだ。AERA 2020年8月31日号では、難関大学への現役進学率を算出。旧帝大(東京・京都・北海道・東北・名古屋・大阪・九州)・早稲田・慶應義塾・上智・東京理科・MARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政)・関関同立(関西・関西学院・同志社・立命館)の人気20大学への進学者数を徹底調査(20年卒)。卒業生数と現役で実際に進学した人数から各大学への「現役進学率」を割り出し、ランキングにした。実績を伸ばす学校には「理由」があった。
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慶應大に9位、東京理科大3位につけるのは、創立1863年の伝統校、攻玉社だ。
30年前に国際学級を設立したことがきっかけで、生徒の進学先に変化が見られるようになった。同校の岡田貴之教頭(55)は、こう説明する。
「国際学級の生徒たちに感化されて、一般生の英語力も伸び始めたのです。慶應は英語の配点が高いので、SFCを皮切りに今では法や経済など様々な学部に受かるようになりました。この数年は早稲田の政治経済学部も人気です」
■東大合格者でも手ごたえ
成績がふるわない生徒のサポートも手厚い。中1から高1までの4年間、国数英の3科目の成績が下位10%にあたる生徒には週1回の補習を実施。高校受験がない分、中3時には中だるみする生徒も出てくるが、豊富なカリキュラムでカバーする。
高2以降は、クラスを「40人6学級」から「30人8学級」に再編成。さらに、クラス内で成績ごとに生徒を分ける「グレード授業」も取り入れている。
「10年前に高学年の8クラス編成をはじめたこともあり、東大合格者が11年連続で2桁を継続するなど、手ごたえを感じています。週3回補習を受けていた生徒が現役で東大に受かるケースもあります。生徒はどこで潜在能力を開花させるかはわかりません」