ランキングを見てほしい。

 攻玉社や渋谷教育学園渋谷のように複数の大学でランクインする高校がいくつかある。のべ合格者数ではなく進学者数で調査しているので、複数の大学でランクインする高校は、難関大を突破する実力が一部の学生だけでなく、学内全体にあると言うこともできる。

■まずは「国公立」目指す

 では、進学実績を伸ばす学校にはどのような特徴があるのか。大手予備校講師で、共著『早慶MARCHに入れる中学・高校』(朝日新書)などがある武川晋也さんは「2パターンある」と分析する。

「一つは学校側がある程度勉強を管理する。たとえば豊島岡女子学園や洗足学園などは、先生ががっちり指導をして生徒を伸ばしていく傾向があります。もう一つは、浅野や白百合学園のように生徒が自然と勉強を頑張る伝統や雰囲気がある学校です」

 ランキングを見ると、国立大と私立大で「地の利」の傾向が分かれる。国立大は北海道大や九州大など、地元の名門校が強い。私立大も地域の影響を受けてはいるが、「新興」と「伝統」の高校が入り交じっているケースも目立つ。

 東京・白金台の住宅街にたたずむ頌栄(しょうえい)女子学院も、伝統校の一つだ。同校は、早稲田大への現役進学率が1位(20.5%)、慶應大5位(同12.6%)。1884年創立の古豪ながら、大学通信の安田さんも「MARCHから早慶に合格者をシフトしている」高校として一目置いている。同校の河野敏子進路指導部長(52)は言う。

「生徒には『チャレンジするのはいいこと』といつも伝えています。東大や難関国公立を狙える子が躊躇するケースも多かったのですが、最近は国公立2次を受ける生徒が45%まで増え、国公立最難関も受けてみようと考える生徒も増えました」

 現役進学の空気がベースにあるため、浪人生は毎年1割ほど。今年は卒業生のうち53%が国公立大と早慶上智に進学した。

「早慶志望の生徒も多くいますが、そこに照準を合わせて英国社の3科目だけをやっていては実績は上がりません。まずは国公立を目指すことで、早慶の実績もついてきています」

 と河野部長は言う。生徒の3割弱は海外からの帰国生が占める。AO入試を受けたいと希望する生徒もいるが、ほとんどは一般入試で合格を勝ち取ってくるという。

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