──自民党内の空気は全く違います。立憲民主党の合流選挙が告示される前ではありますが、朝日新聞の世論調査(9月2、3日)では、「誰が首相にふさわしいか」との質問で菅さんが38%(前回3%)。自民党の政党支持率も40%(同30%)に上がり、立憲民主党は3%(同5%)存在感がありません。
地元を歩くと、有権者の声はマスコミの世論調査とは全く違いますがね。安倍政権の公文書改ざんや新型コロナ対策の失敗に、厳しい批判が多い。その調査結果は選挙まで続くか。急激に上がった数字は急激に下がることもある。
──中村さんは「野党が共闘すれば小選挙区100議席も可能」と公言しています。その戦略は?
3年前は、野党が立憲民主党と希望の党に分かれたが、それでも289の小選挙区のうち59の選挙区で野党(系)候補が当選。当時の希望と立憲、共産、社民4党の票を単純に合わせると、84の選挙区で、野党が自民・公明の与党を上回った。今度の総選挙は、維新も与党入りする可能性があるので、3年前の比例票をこの3党で合わせると2892万票。一方で野党4党を合わせると2611万票。その差はわずか281万票、9.8%の差しかない。共産党も合わせた4党で選挙をやると、全く違う構図が浮上する。小選挙区で100議席をとり、比例区も合わせて200議席台にのせれば、全465議席の衆院の過半数が見えてくる。
──共産党と本当に連携できるかという疑問もあります。
野党4党で話を重ねるうちに、共産党は変わってきました。「野党共闘で行くしかない」との方向へ舵を切った。これまで新潟、埼玉、高知、東京の4都県の知事選を、4野党が協力して戦い、「1勝3敗」。うまくいかない部分もあるが、各党とも手応えは感じている。私が呼びかけ、4党の党首にお酒も入れた懇談会を4~5回、幹事長・書記長や政調会長懇談も合わせると8~9回はやったかな。
ただし、政権が射程に入ってきたら、憲法、外交、防衛問題などを突き詰めることになる。責任ある政権ができないとなれば分かれるしかないが、現段階で共産党を排除する理由は全くない。
(構成/朝日新聞社・菅沼栄一郎)
※AERA 2020年9月21日号より抜粋