「振るいにかけられた精鋭たち」――は誤記なので注意を(イラスト/桔川伸)
「振るいにかけられた精鋭たち」――は誤記なので注意を(イラスト/桔川伸)
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 漢字には数多くの同音異義語があり、使い分けに悩むことも多いでしょう。正しく使い分けているつもりでも、漢字の意味やイメージから、勘違いしている場合もあります。今回は、そんな間違えやすい漢字のうんちくを紹介します。
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1.活を入れる
~「喝」は禅宗で励まし叱る叫び声

 もともとは、柔道などで気絶した人の息を吹き返させることを、「活を入れる」といいます。そこから転じて、「刺激を与えて元気づける」という意味にもなりました。「活」を「喝」としがちですが、「喝」はもともと仏教の禅宗で、励まし叱るときの叫び声です。そこから、大声を出すことや、大声で叱ることの意味になりました。「活を入れる」には、「叱る」という意味はないのです。

2.一堂に会する
~「同じ場所」を表す「一堂」を用いる

 「一堂」を「一同」や「一道」と混同してしまいがちです。「一堂」はもともと、文字通り「一つの堂」という意味で、そこから「同じ場所」という意味があります。「一同」は「そこにいる人々」、「一道」は「芸道などの一つの道」の意味です。そして、「会する」は「ある場所に寄り集まる」という意味なので、「一堂」を用いるのが正しいのです

3.会心の一打
~「気持ちがいい」一打ではなく「心から満足に思う」一打

 「快心の一打」と書いて、心が快い、つまり気持ちのいい一打だと思われることが多いようです。しかし、「会心」は「心に会う」ということから「心から満足に思う」の意味があり、「気持ちがいい」という意味の「快心」よりも高い満足度を表します。そのため、「会心の一撃」や「会心の笑み」なども含めて「会心」が用いられます。

4.一蓮托生(いちれんたくしょう)
~同じ蓮華の上に生まれ変わる

 「蓮」を「連」と勘違いしてしまうことが多いようです。「一蓮托生」はもともと、「死後に極楽浄土で同じ蓮華(れんげ)の上に生まれ変わること」を意味する仏教語なので、「蓮」の字が用いられています。よい行いをすると死後に極楽浄土で生まれ変わるという日本の仏教の考え方が根底にあります。のちに、よくても悪くても行動・運命をともにすることを意味するようにもなりました。

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「ちりばめる」は「きざみつける」意味の難しい漢字