5.悪巧み
~「悪企み」と書いて「わるだくみ」とは読まない

 「悪いたくらみ」という意味から、「わるだくみ」を「悪企み」と思っている人が多いようです。しかし、「企み」に「たくみ」という読みはありません。また「巧み」によいイメージがあることも、「悪巧み」だとは思わない要因のようです。しかし、「巧み」の元になっている「巧む」という動詞には、「工夫をめぐらす」のほかに「たくらむ」という意味があるのです。「言葉巧み」のように「巧み」を用いたよくないイメージの言葉もあります。

6.鏤める(ちりばめる)
~「きざみつける」意味の「鏤」の字が使われる

 「散りばめる」と思われがちですが、「鏤める」という難しい漢字が使われます。「鏤」は「きざみつける」という意味の漢字で、「宝石を鏤めた王冠」のように、彫って金銀・宝石をはめ込むことを表します。転じて、文章のところどころに美しい言葉をはめ込むことも表すようになりました。語源的には「散り」「嵌(は)める」なので「散りばめる」ですが、漢字一字では「鏤める」となります。新聞などではひらがなで書かれます。

7.篩にかける(ふるいにかける)
~「振る」動作から「振るい」と勘違い?

 「篩」とは、円形や四角形の枠に網をはった道具で、粉状のものなどをより分けるのに使われます。ひらがなで表記されることが多く、さらにはより分ける際に篩を振るので、「振るい」と勘違いされることがあるようです。粉状のものをより分けることから転じて、広くものや人を多くの中から選抜する意味になりました。

※漢字エンタメ誌「みんなの漢字」2019年9月号から抜粋
監修/久保裕之(立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所)  

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