新しい自民党総裁は、皇位継承問題でも安倍政権の姿勢を「継承」するのだろうか。天皇、皇后両陛下の「面会」「おことば」そして愛子さまの「作文」から見えてきたことがある。AERA 2020年9月21日号から。
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「今後とも」という言葉に感動したのは、生まれて初めてのことだったかもしれない。
そもそも自分で使うのは、「今後とも、どうぞよろしくお願いします」くらいだ。メールの最後にお約束でつける、何も意味しない言葉。なのに「今後とも」に触発された。あれこれ考えた。初めての体験だった。
それは令和になって2度目の全国戦没者追悼式。天皇陛下は「おことば」の中でこう語った。
「私たちは今、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、新たな苦難に直面していますが、私たち皆が手を共に携えて、この困難な状況を乗り越え、今後とも、人々の幸せと平和を希求し続けていくことを心から願います」
そうか、皇室のバトンとはこのように引き継がれるのか。これは愛子さまにつながる道。それは男性であろうと女性であろうと関係ない。そう実感した8月15日だった。そこへ至る道を書いていく。
■平和希求する担い手は
先ほど紹介した陛下のおことばは、昨年の全国戦没者追悼式にはなかった新たな一文だった。英国のエリザベス女王はじめ、各国王室が新型コロナウイルスに関して国民にメッセージを発してきたことなどと比較し、「沈黙」と報じられることもあった陛下。2月14日以来、6カ月ぶりの外出という機会をとらえ、コロナ禍への思いを織り込んだ。国民へ語りかけたい。その切実な思いが伝わってきた。
そこで使われた「今後とも」。文章を因数分解するなら、「今後とも、人々の幸せと平和を希求し続けていく」担い手は、「私たち皆」になる。だが、ここでの陛下の力点は「私たち」に置かれ、それは「ご自身」「雅子さま」「愛子さま」ではないか。そのように思え、勝手に感動した。