私のことを振り返ってみると、晩酌が終わり、入浴して床につくのが午後9時すぎ。夜半に一度目覚めて小用を済ませ、午前3時半に起床します。ずっと、寝つきのいい方だと自負してきたのですが、最近、夜半の小用のあと、眠れなくなることがあるのです。そういうときは白隠禅師の「内観の法」をすればいいと以前、「養生訓」のシリーズで書きました(2018年3月9日号)。仰臥(ぎょうが)したまま両脚を伸ばし強く踏みそろえ、呼気に合わせて臍下丹田(せいかたんでん)、腰脚足心に気を満たしていくというものです。理論的にはこれで眠くなるはずなのですが、さにあらず、かえって頭が冴(さ)えてしまったりするんですね(笑)。ですから、これをやるのはやめました。別に午前3時半まで眠れなくてもいいと、居直ることにしています。しかし、この状態が進んで、まるで眠れなくなってきたら、椎名さんの結論にしたがって、睡眠薬を飲もうと思っています。

 現在も痛風の薬を毎日2錠、高血圧症の薬を毎朝夕に計3錠、飲んでいますから、薬を飲むことに抵抗がありません。

 眠れないというのはストレスになります。痛いとか、眠れないとか不快なことがあれば、うまく薬を使って解決する。これもナイス・エイジングの方法だと思うのです。

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

週刊朝日  2020年9月25日号

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