西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「眠れないときには」について。
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【睡眠薬】ポイント
(1)眠りはナイス・エイジングの重要問題
(2)薬などを使わず正常睡眠に戻すのは無理
(3)不快なことはうまく薬を使って解決しよう
年をとったら眠れなくなった、という悩みをよく聞きます。特に最近はコロナのせいで家にこもって運動不足になり、夜に眠れないと感じる人が増えているのではないでしょうか。眠りをどうするかは、ナイス・エイジングにとって重要な問題だといえます。
以前、本誌で対談した作家の椎名誠さんも眠ることに苦労されたようです。世界の果てまで探検に出かける豪快な椎名さんに、そんな悩みがあるとはお会いしてまったく気づかなかったのですが、『ぼくは眠れない』(新潮新書)という本を書いていらっしゃいます。とても面白い本で、睡眠について調べた内容が詰まっています。で、不眠の解決法が見つかったかというと、「いろんな『不眠打開、不眠解消』などという本を自分のために読んできたが、はっきりいってただの一冊もその有効回答になったものはなかった。(中略)この一年、無駄な本をいっぱい読んでしまった」というのです。
そのうえで、こういう結論にいたります。「興奮している自分の中のエンジンをじょじょに沈静化させ、それからそれなりの睡眠薬を考えて、眠りに入るようにしている。つまりぼくは『不眠症状』というものをくすりなどを使わず根本から正常睡眠に戻していこう、などという方針は捨てた」と。一冊の本ができるぐらい、睡眠について調べ尽くして、考察を重ねた上での結論ですから、説得力があります。そして、いさぎよさがいいですね。