さらにこのころの大きな変化としては、仕事において自分自身の努力も大切だが、「助け合い」も必要だという趣旨の発言が増えたこと。例えば、MCを務めるNHKの番組「世界はほしいモノにあふれてる」についてのインタビュー。心がけていることとして、ゲストへ毎回こんな声かけをしていたという。
「ゲストであるバイヤーさんに『この番組は“収録”だから、もし失敗しても言い直しができるので、緊張しなくても大丈夫ですよ』と声をかけています。これは、毎回、必ず、僕からお伝えします。(中略)経験上、共演者からそうしたひと言があるのとないのとでは、全然気持ちが違うんですよ。だから、この番組では、MCである自分の役割だと思っています」(ステラ 2019年4月12日号/29歳)
また、相手に手を差し伸べるだけでなく、自分から相手に心を開くようにもなったとも明かしていた。
「どうすればお互いが寄り添った形でいい方向に持っていけるかってことを、怖がらずに話せるようになったと思う。スタッフともよく話し合いをするようになりました」(週刊女性 2018年11月13日号/28歳)
「助け合うことによって生まれる、人の成長があると思うんです。実はそれが意外と重要なことなんじゃないかなと。だから最近、僕は助けてもらうことを恐れず、共演者やスタッフの方の胸に飛び込んでいくことが多いです」(からだにいいこと 2019年10月号/29歳)
自己研鑽に励みつつ、いい感じで力が抜けてきたように見えた三浦さん。20代最後の年となった2019年は、舞台「罪と罰」、キンキーブーツの再演、映画「アイネクライネハナトムジーク」の公開、ドラマ「TWO WEEKS」に出演などを通して、駆け抜けるように過ぎた。本人が望んだペースよりも、慌ただしかったのではないだろか。
ミュージカル俳優としてブロードウェイの舞台に立ちたいという夢を明かしていた三浦さんだが、30歳を目前にして、俳優として今一番興味があることを聞かれ、こんな発言を残していた。
「変に思われるかもしれませんが、よりよく生きること。いろいろな意味でよりよく生きれば、日々のマインドも波風立てられずに、仕事でもしっか自分の役目を果たせるんじゃないかなと思うから」(週刊女性 2020年1月1日号/29歳)
よりよく生きること。三浦さんは30年という短い人生の間に、きらめくような言葉を残していた。出演作品とともに、これらの本人の言葉も生きた証として覚えてきたい。次回は、恋愛をテーマにふりかえる。(AERAdot.編集部)
※このシリーズの他の回はこちら
【1回目】三浦春馬さんの死に傷ついている人へ もう一度聞きたい「本人の言葉」を集めて~家族と仕事~
https://dot.asahi.com/dot/2020091400066.html
【2回目】三浦春馬さんの死から心に穴が開いたままの人へ 残したい「本人の言葉」~人との出会い~https://dot.asahi.com/dot/2020092200004.html
【4回目】三浦春馬さんの死から時が止まってしまった人へ 結婚と恋愛をめぐる「本人の言葉」https://dot.asahi.com/dot/2020100300016.html
【5回目】三浦春馬さんの死でつらい思いを抱える人へ 「14歳の母」から「せかほし」まで本人の言葉https://dot.asahi.com/dot/2020100600064.html
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