周囲の期待に、素直に応えたい。そんなまっすぐな気持ちが役者としての成長のきっかけだったようだ。
役に真摯に向き合うほど、オファーは絶えず、多忙を極めた。2013年は、連続ドラマ「ラスト・シンデレラ」で主演の篠原涼子さんの相手役を務め、映画「キャプテンハーロック」では声優に初挑戦、映画「永遠の0」も公開された。
「成長したい気持ちが高まっているんでしょうね。過去に歯がゆい思いをしたから、あんな深い演技ができるんだ……って想像を膨らませながら先輩たちの貴重な経験談や苦労話を聞く時間がいちばん楽しいんです」(MORE 2013年10月号/23歳)
三浦さんほど容姿に恵まれていると、若いときにはどうしても「イケメン」「さわやか」な役が回ってきがちだ。華があるのは強みといえるが、それに甘んじていたら役者としての進路を狭めてしまう。それを三浦さんは早い段階で気が付いていたことがわかる。
「今まで“さわやか”な役をたくさんいただいて、それはすごくうれしいです(笑)。でも、それだけの人にはなりたくないし、これからもっといろんな顔を見せていきたい。悪役もやってみたいし、暗ーい役とか、どはまりしそう(笑)」(LEE 2013年12月号/23歳)
20代前半は、変化を求める一方で、成長のために具体的に何をどうやったらいいのか、やるべきことがいま一つ見えないもどかしさもうかがえる。
「でも、何をどうっていうのは、僕を含め、まだ見つけられていない人も多いはず。だからこそ、いろいろなことに出会って、変っていくことが必要なんじゃないか。自分の芝居にしても、“これでいい”って満足したら、あとは他をけなすばかりになってしまう。それってすごく悲しいこと。出会ったことにしっかり向き合って、自分を変えていければ成長できるし、自分のやるべきことも見えてくると思うんです」(With 2014年1月号/23歳)
しかし偶然にも23歳の夏、運命の「出会い」を果たしていた。ニューヨークでブロードウェーミュージカル『キンキーブーツ』を観賞。主人公のドラァグクイーンのローラに魅せられ、「いつか絶対にローラを演じてみたい」と強く思ったという。
その3年後に実際、三浦さんは日本人キャスト版でその役を射止めている。公演前のインタビューでは、23歳の自分の気持ちをふりかえっていた。
「素晴らしい楽曲はもちろん、特に惹かれたのは(中略)ローラでした。たぶんその背景には、俳優として幅を広げるために、ちょっと特殊な役どころを演じてみたいという僕自身の気持ちがあったんだと思います」(PHPスペシャル 2016年8月号/26歳)