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「YouTubeで勉強している」と言う大人や子供が結構います。本人たちがそう思っているのであれば構いませんが、「本や教科書よりも勉強になる」と言われると末恐ろしい気持ちになります。
今回は、YouTubeにある「勉強になる」と思われがちな動画と、本来の勉強の意味について述べさせていただきます。
YouTube上には多くの動画があります。ジャンルも種類も多岐にわたり、教育コンテンツやビジネス系や専門的なコンテンツも非常に増えました。通勤や通学中にラジオのように耳で聴くための動画もあります。
私はYouTubeで6年以上、YouTuberという「仕掛ける側」の立場でいますが、プライベートでYouTubeを見ることはほとんどありません。どの動画も全く面白くないし勉強になるとも思いません。畳めなくなった簡易式のテントの畳み方を調べたり、編集ソフトの設定方法や車の整備方法などをスポットで視聴する使い方をしています。
YouTubeの動画にある情報は、制作者が「わかりやすく」加工した離乳食のような情報です。「食べやすく」するように面白い味付けをされることもありますし、難しい部分は省略されることもあります。政治や経済や数学や歴史などの情報も、良くも悪くも「色がついた状態」になっています。その方が再生されるからです。情報の真意を確かめるには、本や原本や論文などの文献を確かめる必要があり、最初から一次情報である本や論文を読む方が情報の取得は効率的です。
ではなぜ、本を読まずにYouTubeの動画を見るのかといえば、情報を咀嚼するのが面倒だと思う人が多いからです。本や教科書や図鑑、論文の情報は、「硬い」情報で、かみくだいて理解する咀嚼力が必要です。これは何度も自分で考えたり、解いたり、覚える必要があります。ときには先生や専門家に質問して、わからない部分を教えてもらうこともあります。YouTubeの動画がその一助になる場合もあります。普段は会えないような専門家が、解説の動画を出しているからです。
「勉強」の一環として、識者や専門家、詳しい人物の解説の動画をYouTubeで視聴することはあると思います。ただ、YouTubeの動画が勉強の全てを担うことは決してありません。「勉強」とは、硬い情報をかみくだいて自分で理解するための反復練習のことだからです。YouTube視聴は、あくまでも手段の一つであり、動画で勉強を完結させることはできないのです。